ブラウザだけで集えるVR空間を、OSSで構築 — 専用機器なしで参加できるオンライン展示・即売イベントの会場を Mozilla Hubs ベースで自社開発
実際の会場スクリーンショット: VR即売会のデモ会場。ブラウザでこのまま歩き回れます
ざっくり言うと
- 会場に集まれないイベントや即売会をやりたかった
- ブラウザだけで入れるVR会場を、専用機器なしでつくった
- 小さな団体や個人の方でも、気軽に集まれる場になった
展示会や採用説明会、バーチャル店舗のような「人を集めたいけれど、リアル会場を用意するのは重い」場面に、そのまま応用できる仕組みです。
(オンライン即売会向け)
(自前ホスティング)
(専用機器・アプリ不要)
「会場を歩く体験ごと、オンラインにしたい」と思った日
この事例は、開発を担当した本人が時系列で振り返ります。始まりは、会場に集まれないイベントや即売会をオンラインでやりたい、という話でした。ただ、リスト表示やビデオ会議で済ませるのは違う気がしていました。「会場を歩いて出展ブースを覗く」あの体験ごと、オンラインに持ち込めないか。それがこのプロダクトの出発点です。
ぶつかった壁: 既製サービスは高くて、自由が利かない
最初に市販のメタバースサービスを調べましたが、専用VR機器が必要・利用料が高い・会場の自由度が低いといった壁があり、小規模なイベント主催者や個人にはハードルが高いのが実情でした。
選択肢は、ゼロから3Dエンジンを作るか、高価な商用サービスに乗るか、OSSを土台にするか。採ったのは三つ目で、実績あるOSS「Mozilla Hubs」を自社で運用できる形へ作り込むという道です。決め手は「中身を自分たちで握れること」でした。商用サービスの仕様変更や値上げに振り回されず、必要な機能を必要なだけ作り込めます。AWS上で自前ホスティングするため、ライセンス費は0円です。
ブラウザだけで動いた日
作り込みで実現したのは、次の3点です。
- ブラウザだけで参加: PC・スマホのブラウザから直接入場。専用機器も専用アプリも不要
- "画像を置くだけ"の会場設営: Web上で画像を配置するだけで、それっぽい出展スペースを設営できる
- 過去会場の再現: 以前運用していたVRイベントの会場・アバター資産を取り込み、同じ空間を再現可能に
技術スタック
| VR基盤 | Mozilla Hubs (Community Edition / OSS) をベースに自社拡張 |
|---|---|
| 通信 | WebRTC (ブラウザ間のリアルタイム通信) |
| 描画 | ブラウザの WebGL (アプリのインストール不要) |
| インフラ | AWS 上で自前ホスティング (商用サービスのライセンス費なし) |
いま使われている場面
このプラットフォームでは、VR即売会を複数回開催してきました。会場づくりは画像配置ベースで技術者でなくても設営できる設計にしてあり、イベントごとに会場をセットアップして、過去の資産を再利用しながら運用しています。
「VRイベント=大がかりで高価」という常識に対し、OSSとブラウザの組み合わせで"気軽に開けるVR会場"を実現しました。冒頭に書いたとおり、小規模な即売イベントに限らず、展示会・採用説明会・社内イベント・バーチャル店舗など、用途がはっきりしている場面で力を発揮します。
振り返って、いま思うこと
この開発でいちばん効いたのは、派手な機能ではなく「URLを開くだけで入れる」という入口の低さだったと思います。どんなに凝った空間でも、専用機器が要れば多くの人は来ません。OSSを土台にしたことで商用サービスより低コストで自由度高く作れましたが、それも自前で運用・改修できる体制があってこそでした。そして、イベントを実際に開いて初めて分かる改善点が必ずあります。自社で運用しているからこそ、その学びをすぐ次に反映できる。作って終わりにせず、運営しながら磨き続ける。それがこのプロダクトの正直なところです。