AWSの棚卸しでクラウド固定費を削減 — 長年積み上がったムダを"使う分だけ"に、月1万円超の削減を見込む自社実践

長年積み上がったAWS請求を棚卸しで軽くした。月約1.4万円を削減(主要対策は実施済み)、年約17万円のムダを整理、追加コスト0円。

ざっくり言うと

  • 「なんとなく」払い続けていたクラウド代 ── 中身は誰も見なくなりがち
  • その請求の中身を、AIと棚卸し。止まったサーバ・古いバックアップ・割高なストレージのムダを洗い出した
  • 月 約1.4万円の固定費を、外注なしで削減(主要対策は実施済み)

トップ > 事例紹介 > AWSの棚卸しでクラウド固定費を削減

AIで業務を軽くした事例(自社で実践) 実施: 2026-05 / カテゴリ: コスト最適化・クラウド

この事例のポイント ── 払い続けた"ムダ"を、AIで見える化

クラウド代は"なんとなく"膨らみ、中身はいつのまにか誰も見なくなります。その積み上がった請求を AIで一気に棚卸しし、止まったサーバ・古いバックアップ・割高なストレージを洗い出して継続削減の仕組みに。月 約1.4万円を削減(1アカウント・主要対策は実施済み)。

この事例の骨子
対象
自社グループのAWS
(長年運用・複数アカウント)
やったこと
リソース全棚卸し
(削除・最適化を安全に)
効果
月 約1.4万円 削減
(1アカウント・主要対策は実施済み)

01課題: 積み上がった請求明細、誰も全部は見ていなかった

クラウド (AWS) は、使い始めるのは簡単でも、年月とともに「もう誰も使っていないのに料金だけ発生し続けるリソース」が静かに積み上がります。自社グループのアカウントも、長年の運用で次のようなムダが溜まっていました。

  • とっくに止めたサーバ (EC2) の、ディスク (EBS) だけが課金され続けている
  • 何年も前のバックアップイメージ (AMI) とスナップショットが大量に残置
  • 使われていない巨大なバックアップ用ストレージ (S3) が最高額の保存クラスのまま
  • ロードバランサー (ALB) が使われていないゾーンにまたがったまま、未使用の構成が残置

これは特別なことではなく、「クラウドを数年運用したどの会社にもある」典型です。問題は金額そのものより、全体像を誰も把握できていないことにあります。

ポイント: 「月1万円くらい」と侮ってはいけません。年12万円、5年で60万円。さらに、誰も見ていない古いサーバは更新も止まりがちで、放置はムダなだけでなく管理の死角にもなります。まずは"使う分だけ"に寄せることが、コストにも守りにも効きます。

02アプローチ: AIと"全リソース棚卸し"

数百にのぼるリソースを目視で確認するのは現実的ではありません。そこで「全リソースを AI に読み込ませ、使用状況で3分類する」方針を採りました。

Step 1: 棚卸しと分類

AWS の各リソース一覧を取得し、AIアシスタント (Claude Code) で 「稼働中 / 不要 / 要確認」 に仕分け。最終接続日・作成年・関連リソースの有無から、安全に消せるものを浮かび上がらせます。

Step 2: 安全に削除・最適化

  • 停止サーバの整理: 復元できるようイメージ (AMI) を取得してから、本体と課金中ディスクを削除
  • 古いバックアップの削除: 対象サーバが既に無い AMI・スナップショットを世代を残して整理
  • ストレージの自動最適化: 大容量 S3 にライフサイクルを設定し、アクセス頻度に応じて安い保存クラスへ自動移行 (Intelligent-Tiering / Deep Archive)
  • ロードバランサー周りの整理: 使われていないゾーン・サブネット/ENIを外して構成を簡素化(可用性要件を確認のうえ)

技術スタック

棚卸し・分類AWS CLI + Claude Code (一覧の読み込み・3分類・削除手順の提案)
ストレージ最適化S3 ライフサイクル (Intelligent-Tiering / Glacier Deep Archive)
安全策削除前の AMI / スナップショット取得 (復元可能性の担保)
検証CloudWatch メトリクスで移行・削減を確認

03実装と運用 (経営者向けに翻訳)

体制私たち(代表が自ら)+ AI アシスタント
安全性削除はすべて復元可能な状態 (イメージ取得) を作ってから実施。本番稼働中のものは影響確認の上で対応
追加コスト0円 (既存の AWS・AIサブスク内で完結)
外注の必要性なし

ポイントは「消して終わり」ではなく「使う分だけに寄せて、その状態を保つ仕組みを作る」こと。とくにストレージの自動最適化 (ライフサイクル) は、一度設定すれば以後は手をかけずに効き続けます。

04結果: 数字で見せる

大容量ストレージ (S3) の自動最適化
月 約1.6万円 月 約6〜7千円
停止サーバ・古いバックアップの削除
課金中 月 約3千円 削減
ロードバランサー周りの整理
未使用の構成 整理(構成を簡素化)
合計 (1アカウント)
月 約1.4万円 削減

最大の削減源は、ほとんど取り出さない大容量バックアップを「使う頻度に応じた安いクラスへ自動で移す」設定でした。削除だけでなく、保存の仕方を変えるだけでも固定費は下がります。

ご注意: 上記は自社グループでの棚卸しに基づく削減見込みです(S3の自動最適化など主要な対策は実施済み、金額は社内のコスト削減ダッシュボードで継続測定中)。削減額は構成・利用状況により異なり、同じ金額を保証するものではありません。

05学び: 中小企業経営者へのメッセージ

① クラウドの固定費は"育つ"

契約して終わりにすると、使われないリソースは知らないうちに増えていきます。年に一度でも棚卸しすれば、たいてい削れる箇所が見つかります。

② 棚卸しはAIが得意

数百のリソースを「最終利用日・作成年・関連性」でパターン分類するのはAIの得意分野です。人が見落とす"放置リソース"を素早く洗い出せます。

③ 消すより"自動で安くする"が続く

手作業の削除は一度きりですが、ストレージの自動最適化のような「仕組み」は放っておいても効き続けます。今回の最大の削減源も、ほとんど取り出さないバックアップを「使う頻度に応じた安いクラスへ自動で移す」設定でした。一度設定すれば、以後は手をかけずに済みます。中小企業ほど、こういう手離れのよい仕組み化が効きます。

経験からのひとこと: コスト削減で最も怖いのは「動いているものを誤って消す」ことです。本番DBや稼働中サーバの削除は事業停止に直結します。実際、今回いちばん時間を使ったのは AI の分類作業ではなく、「これは本当に消していいのか」の最終判断でした。必ず実機を確認し、復元できる状態を作ってから手を下す ── 攻めの削減ほど、守りの確認を厚くするのが鉄則です。