AWSの棚卸しでクラウド固定費を削減 — 長年積み上がったムダを"使う分だけ"に、月1万円超の削減を見込む自社実践
ざっくり言うと
- 「なんとなく」払い続けていたクラウド代 ── 中身は誰も見なくなりがち
- その請求の中身を、AIと棚卸し。止まったサーバ・古いバックアップ・割高なストレージのムダを洗い出した
- 月 約1.4万円の固定費を、外注なしで削減(主要対策は実施済み)
この事例のポイント ── 払い続けた"ムダ"を、AIで見える化
クラウド代は"なんとなく"膨らみ、中身はいつのまにか誰も見なくなります。その積み上がった請求を AIで一気に棚卸しし、止まったサーバ・古いバックアップ・割高なストレージを洗い出して継続削減の仕組みに。月 約1.4万円を削減(1アカウント・主要対策は実施済み)。
(長年運用・複数アカウント)
(削除・最適化を安全に)
(1アカウント・主要対策は実施済み)
01課題: 積み上がった請求明細、誰も全部は見ていなかった
クラウド (AWS) は、使い始めるのは簡単でも、年月とともに「もう誰も使っていないのに料金だけ発生し続けるリソース」が静かに積み上がります。自社グループのアカウントも、長年の運用で次のようなムダが溜まっていました。
- とっくに止めたサーバ (EC2) の、ディスク (EBS) だけが課金され続けている
- 何年も前のバックアップイメージ (AMI) とスナップショットが大量に残置
- 使われていない巨大なバックアップ用ストレージ (S3) が最高額の保存クラスのまま
- ロードバランサー (ALB) が使われていないゾーンにまたがったまま、未使用の構成が残置
これは特別なことではなく、「クラウドを数年運用したどの会社にもある」典型です。問題は金額そのものより、全体像を誰も把握できていないことにあります。
02アプローチ: AIと"全リソース棚卸し"
数百にのぼるリソースを目視で確認するのは現実的ではありません。そこで「全リソースを AI に読み込ませ、使用状況で3分類する」方針を採りました。
Step 1: 棚卸しと分類
AWS の各リソース一覧を取得し、AIアシスタント (Claude Code) で 「稼働中 / 不要 / 要確認」 に仕分け。最終接続日・作成年・関連リソースの有無から、安全に消せるものを浮かび上がらせます。
Step 2: 安全に削除・最適化
- 停止サーバの整理: 復元できるようイメージ (AMI) を取得してから、本体と課金中ディスクを削除
- 古いバックアップの削除: 対象サーバが既に無い AMI・スナップショットを世代を残して整理
- ストレージの自動最適化: 大容量 S3 にライフサイクルを設定し、アクセス頻度に応じて安い保存クラスへ自動移行 (Intelligent-Tiering / Deep Archive)
- ロードバランサー周りの整理: 使われていないゾーン・サブネット/ENIを外して構成を簡素化(可用性要件を確認のうえ)
技術スタック
| 棚卸し・分類 | AWS CLI + Claude Code (一覧の読み込み・3分類・削除手順の提案) |
|---|---|
| ストレージ最適化 | S3 ライフサイクル (Intelligent-Tiering / Glacier Deep Archive) |
| 安全策 | 削除前の AMI / スナップショット取得 (復元可能性の担保) |
| 検証 | CloudWatch メトリクスで移行・削減を確認 |
03実装と運用 (経営者向けに翻訳)
| 体制 | 私たち(代表が自ら)+ AI アシスタント |
|---|---|
| 安全性 | 削除はすべて復元可能な状態 (イメージ取得) を作ってから実施。本番稼働中のものは影響確認の上で対応 |
| 追加コスト | 0円 (既存の AWS・AIサブスク内で完結) |
| 外注の必要性 | なし |
ポイントは「消して終わり」ではなく「使う分だけに寄せて、その状態を保つ仕組みを作る」こと。とくにストレージの自動最適化 (ライフサイクル) は、一度設定すれば以後は手をかけずに効き続けます。
04結果: 数字で見せる
最大の削減源は、ほとんど取り出さない大容量バックアップを「使う頻度に応じた安いクラスへ自動で移す」設定でした。削除だけでなく、保存の仕方を変えるだけでも固定費は下がります。
05学び: 中小企業経営者へのメッセージ
① クラウドの固定費は"育つ"
契約して終わりにすると、使われないリソースは知らないうちに増えていきます。年に一度でも棚卸しすれば、たいてい削れる箇所が見つかります。
② 棚卸しはAIが得意
数百のリソースを「最終利用日・作成年・関連性」でパターン分類するのはAIの得意分野です。人が見落とす"放置リソース"を素早く洗い出せます。
③ 消すより"自動で安くする"が続く
手作業の削除は一度きりですが、ストレージの自動最適化のような「仕組み」は放っておいても効き続けます。今回の最大の削減源も、ほとんど取り出さないバックアップを「使う頻度に応じた安いクラスへ自動で移す」設定でした。一度設定すれば、以後は手をかけずに済みます。中小企業ほど、こういう手離れのよい仕組み化が効きます。