外注していたSEOを、AIで社内に取り戻す — WordPress脱却で、ページもAIで直せる会社に

自社グループのメディアサイトのSEOをAIで整流化。検索の未登録ページ 約3,900件を構造対応、実作業 約4時間・追加コスト0円。

ざっくり言うと

  • サイトはあるのに、検索から人が来ない。原因は記事ではなく、サイトの"配管詰まり"約3,900件でした
  • WordPressをやめてAIがページを直接編集できる構成に作り替え、SEO対策を「社内で・AIと」回せるように
  • その最初の大仕事として、検索未登録 約3,900件をその日のうちに(実作業 約4時間)整流化(=検索エンジンへの交通整理)。追加費用0円

トップ > 事例紹介 > SEOをAIで社内に取り戻す

AIで業務を軽くした事例(自社で実践) 実施日: 2026-05-12 / 経過観測: 2026-05〜(継続)

この事例のポイント ── SEOを"社内に取り戻す"

WordPressをやめて静的サイトに移したいちばんの狙いは、「AIがページを直接編集できる状態」を作ること。その土台ができたから、これまで外注 or 後回しにしていたSEO対策も、社内でAIと回せるように ── いわばSEOの"インハウス化(社内で内製)"です。手始めに、検索未登録 約3,900件をその日のうちに(実作業 約4時間)・追加費用0円で整流化しました。

この事例の骨子
対象サイト
グループ会社のメディアサイト
(自社グループが運営)
作業期間
約4時間
(2026-05-12 単日完結)
対応規模
GSC未登録 約3,900件
(4種の構造的問題を並列対応)

01なぜ静的化したか ── AIで編集できる土台に

対象は、私たちのグループ会社が運営するメディアサイトです。私たちはこのサイトを WordPress から静的サイトへ移行しました。いちばんの狙いは、AIがページを直接編集できる状態にすることです。WordPress は中身がデータベースと管理画面の中にあり、AI が直接いじりにくい。静的な HTML + Git 管理にすれば、AI がファイルを直接読んで・直して・履歴も残せます。つまり、ページ修正や SEO 対応を、外注せず・人を待たず、社内で AI と進められるようになります。

その移行の過程で、URL 構造の不整合が積み重なっていました。静的化したあとの"最初の大仕事"が、このSEOの整流化です。

Google Search Console (以下 GSC) を確認すると、未登録ページの警告が 合計 3,900 件超。中身は大きく4つの型に分かれました。古い記事の残骸、閉じたサイトへ向いたままのリンク、文字化けしたURL、旧システムの名残です。

エンジニア向け補足: GSC 未登録の内訳
カテゴリ件数意味
クロール済み - インデックス未登録2,358Google が訪問したが、価値判断で登録を見送ったページ
ページにリダイレクトがあります510301/302 が連鎖して終点が不明瞭
見つかりませんでした (404)406過去のURLがそのまま死リンク化
robots.txt によりブロック389意図せずクロール除外されている
サーバエラー (5xx)49廃止サブドメインへの外部リンク残存
その他 (重複・noindex 等)約 210

このまま放置すると、検索エンジンからの信頼度低下、新規記事のクロール優先度の低下、最悪はサイト全体の評価の長期低迷に繋がります。私たちも例外ではなく、移行のあいだに積み上がったこの警告を、ずっと手を付けられずにいました。本来は調査だけで何人日もかかる規模で、手間がかかるからこそ、手が出ないのです。

ポイント: この3,900件を1件ずつ人手で直せば、調査だけで何日もかかり、外注に出せば相応の費用がかかります。こうした「量が多くて後回しになる作業」こそ、AIにパターンを掴ませれば一気に片づく ── そこが今回いちばんお伝えしたい点です。

02アプローチ: AIで「パターン化」して一気に

3,900件を1件ずつ手動で対処するのは現実的ではありません。そこで採用したのが「パターン認識 → 構造的対応」の方針です。

Step 1: GSC エクスポートを AI で分類

GSC から「登録できなかった」ページの一覧を書き出し、AIに読み込ませてパターン分けしました。01 で挙げた4つの型は、この分類で浮かび上がったものです。

Step 2: 解決手段を3つに分け、並列で対応

  • (A) 古いURLを、今のURLへ自動転送: 廃止した何百ものページを、まとめて現行ページへ転送(301リダイレクト)
  • (B) 検索エンジンの巡回ルールを整理: 見せる必要のない管理用ページは、巡回の対象から外す(robots.txt)
  • (C) 閉じていた旧サブドメインを一時的に復活: 外部リンクが残っていた旧ドメインを立て直し、今のURLへ転送して受け止める

Step 3: Google に「修正を検証」を依頼

GSC の「修正を検証」ボタンは、Google に対して「直したから再評価して」と明示的に依頼するアクションです。これを押さないと、再評価は自然なタイミング任せになります。見落とされがちな一手です。

技術スタック(エンジニア向け補足)

URL 正規化CloudFront Functions (10KB 制限内で動的正規表現マッチ)
クロール制御robots.txt
DNS / 集約Amazon Route53 + ALB (priority 11 listener rule)
CI / CDGitHub(main push)→ 自動ビルド・配信
AI 連携Claude Code (パターン抽出・PR 提案・コード生成)

03実装と運用 (経営者向けに翻訳)

作業時間約4時間 (実装) + 1時間 (GSC 検証手続)
体制代表本人 + AI アシスタント(社内で完結・外注なし)
追加コスト0円 (既存 AWS インフラ内で完結、AI 利用料は既存サブスク内)
外注の必要性なし

ポイントは「自分たちのサイトだから、どこをどう直したかを把握したまま、その日のうちに整理できた」という点です。外注すると相応の費用と時間がかかる規模の作業を、社内で完結できました。

04結果: 数字で見せる

主要な転送(301)は、すでに Google が追従済みです(2026-05-27 確認)。残りのページは Google の再クロール待ちで、以下は「修正前の状態」と「実施した対応」の一覧です。

実装はすべて完了し、リダイレクト等が正しく動作していることを URL 検査で確認済みです。検索結果の数字への反映は Google の再クロール次第で数週間かかるため、確定した集計値は再クロール完了後に更新します。
サーバエラー (5xx)
修正前 49 件 旧サブドメインを復活させ301で集約(対応済み・反映待ち)
見つかりませんでした (404)
修正前 406 件 段階的に削減(再クロール反映中)
ソフト 404
修正前 1 件 該当URLを301で現行ページへ集約(対応済み・反映待ち)
クロール済み - インデックス未登録
修正前 2,358 件 /event/系の集約で削減(再クロール反映中)

05学び: 中小企業経営者へのメッセージ

① SEOは、AIで"社内に取り戻せる"

これまで「SEOは専門の外注先に頼むもの」でした。ですが、AIがページを直接編集できる土台さえあれば、必要な時に・社内で・AIと対応できます。外注費もリードタイムも抑えられ、何より"自社サイトの主導権"が社内に残ります。今回は私たち自身がAIと直接手を動かしたので、どこをどう直したかを把握したまま、その後の判断(どこは社内で、どこは外に頼むか)まで自分たちで握れています。古いサイトほど構造的な歪みが溜まっているぶん、内製化の効果は大きく出ます。

② SEOは「コンテンツ」だけの話ではない

SEO というと記事の中身や被リンクが語られがちですが、検索エンジンが評価するのはサイト全体の構造です。死リンク・リダイレクト連鎖・robots.txt の不備は、コンテンツの質に関係なく評価を下げます。今回のような「整流化」は、新規記事を書く前にやるべき下準備です。

経験からのひとこと: ただし「AI に任せれば全部できる」と考えるのは禁物です。今回も、どこをどう直すべきかの勘どころは、過去の運用経験があってこそ AI からも引き出せたものでした。AI は「てこ」であって「魔法」ではない、というのが正直な実感です。